本文
根津嘉一郎翁は、明治に活躍した山梨市出身の政治家・実業家で、日本の鉄道事業の発展や教育文化振興に大きく貢献した地元が誇る偉人です。
明治38年、東武鉄道の社長に就任して経営を再建しました。生涯を通じて創設や経営参画した会社は200数十社にも及び、その中心は鉄道会社の経営でした。鉄道会社の重鎮であったことから「鉄道王」と呼ばれていました。
「社会から得た利益は社会に還元する」という理念のもと、県下すべての小学校にピアノを寄付しました。これらのピアノは「根津ピアノ」と呼ばれ、広く知られています。他にも、理化学機械、標本、人体模型、顕微鏡、ミシンなどを約200校に寄付するなど、教育文化振興に大きく貢献しました。
嘉一郎は若い頃から美術品に関心を寄せており、日本・東洋古美術の広いジャンルにわたり、仏教絵画、写経、水墨画、近世絵画、中国絵画、漆工、陶磁、刀剣、中国古代青銅器など、幅広い美術品を蒐集しました。これらの美術品を保存・展示するために、東京・青山の嘉一郎の邸宅跡地に作られた美術館が「根津美術館」です。