○山梨市景観条例

平成27年12月22日

条例第29号

目次

第1章 総則(第1条~第7条)

第2章 良好な景観形成の推進

第1節 景観計画(第8条~第12条)

第2節 行為の制限(第13条~第21条)

第3節 景観重要建造物及び景観重要樹木(第22条~第28条)

第3章 市民等との協働による景観形成の推進(第29条~第31条)

第4章 山梨市景観づくり会議(第32条~第36条)

第5章 表彰及び助成(第37条・第38条)

第6章 雑則(第39条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、山梨市における景観の形成に関する基本的な事項、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)第8条第1項に規定する景観計画の策定の手続及び法の施行に関し必要な事項を定めることにより、美しく魅力ある景観を形成することをもって、うるおいのある豊かな生活環境の創造、個性的で活力のある地域社会の実現及び地域の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 景観形成 良好な景観を保全、育成、活用若しくは創出すること又は現に存在する景観を改善することをいう。

(2) 景観計画 法第8条第1項に規定する景観計画をいう。

(3) 景観計画区域 法第8条第2項第1号に規定する景観計画の区域をいう。

(4) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物及び山梨市景観条例施行規則(平成27年山梨市規則第12号。以下「規則」という。)第2条で規定する工作物をいう。

(5) 屋外広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。

(6) 観光客等 二地域居住者、別荘所有者、観光客及びその他多様な来訪者をいう。

2 前項に定めるもののほか、この条例において使用する用語は、法及びこれに基づく法令において使用する用語の例による。

(景観づくりの基本理念)

第3条 大地を潤す笛吹川や山岳地形から高原、丘陵地、平坦地へと変化する地形、これに応じて原生的な自然から高原植物の群生、果樹園へと多様な表情を見せる本市の豊かな景観は、私たちの暮らしを映す地域の特色ある資産であることに鑑み、価値を見つめ直し、来訪者にとって「おもてなしの心」が表れた心地の良い魅力をさらに高め、より良いものとしつつ、継承されるよう、市、市民、事業者及び観光客等は協働して、その整備、保全及び育成を図らなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、良好な景観形成を推進するための施策を策定し、これを総合的かつ計画的に実施しなければならない。

2 市は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、市民及び事業者等の意見を反映するよう努めなければならない。

3 市は、景観形成に関する啓発及び知識の普及等を通じて、基本理念に対する市民の理解を深めるよう努めなければならない。

4 市は、公共施設の建設その他の公共事業を行う場合は、景観形成において先導的役割を果たさなければならない。

5 市は、必要があると認めるときは、国及び山梨県その他の地方公共団体等と適切な連携を図らなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念に基づき景観形成に関する理解を深めるとともに、良好な景観を形成する主体であることを認識し、景観形成に積極的な役割を果たすよう努めなければならない。

2 市民は、市が実施する景観形成に関する施策に協力しなければならない。

3 市民は、屋外広告物に関する法令及び山梨県景観条例(平成2年山梨県条例第24号。以下「県条例」という。)その他景観形成に寄与する法令を遵守しなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念に基づき、自ら行う事業活動に関し、景観形成に努めるとともに、市が実施する景観形成に関する施策に協力しなければならない。

2 事業者は、屋外広告物に関する法令及び県条例その他景観形成に資する法令を遵守しなければならない。

(観光客等の協力)

第7条 市の区域内に別荘等を有する二地域居住者は、第5条に規定する市民の責務と同等の役割を果たすよう努めなければならない。

2 観光客等は、自らのマナー向上に努め、市の目指す景観形成に対して理解と協力に努めなければならない。

第2章 良好な景観形成の推進

第1節 景観計画

(景観計画の策定等)

第8条 市長は、市の全域にわたる良好な景観の形成に関する基本的かつ総合的な計画として、景観計画を定めるものとする。

2 景観計画は、必要に応じて変更をすることができる。

3 市長は、景観計画を定めたときは、これを告示しなければならない。

(景観計画の策定又は変更の提案をすることができる団体)

第9条 法第11条第2項に規定する条例で定める団体は、法第15条第1項の規定により組織された景観協議会及び第29条第1項に規定する景観形成組織とする。

(景観計画区域)

第10条 景観計画区域は市の全域とする。

(重点景観計画区域の指定等)

第11条 市長は、良好な景観の形成に関する施策が特に必要と認められる地域を、重点景観計画区域(以下「重点区域」という。)として指定することができる。

2 市長は、前項の規定による指定(以下「重点区域の指定」という。)をしたときは、その旨を告示しなければならない。

3 前2項の規定は、重点区域の指定の変更及び解除について準用する。

(景観形成方針及び景観形成基準)

第12条 市長は、重点区域の指定をしたときは、当該重点区域における景観形成のための方針(以下「景観形成方針」という。)を定めるものとする。

2 景観形成方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 景観形成の目標

(2) 公共施設に係る景観形成についての方針

(3) 建築物及び工作物等に係る景観形成についての方針

(4) 前3項に掲げるもののほか、市長が景観形成のために必要があると認める事項

3 市長は、景観形成方針に基づき、重点区域において必要があると認めるものについて、当該重点区域における景観形成のための基準(以下「景観形成基準」という。)を定めることができる。

4 市長は、第1項の規定により景観形成方針を定めたとき及び第3項の規定により景観形成基準を定めたときは、これを告示しなければならない。

第2節 行為の制限

(届出を要する行為)

第13条 法第16条第1項に規定する届出を要する行為(以下「届出対象行為」という。)は、別表第1に定める行為とする。

2 前項の規定に関わらず、重点区域における届出対象行為を定めたときは、当該重点区域の届出対象行為とする。

(届出を要しない行為)

第14条 法第16条第7項第11号に規定する届出を要しない行為は、別表第2に定める行為とする。

(特定届出対象行為)

第15条 法第17条第1項に規定する特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号又は第2号に掲げる行為のうち、同項の規定による届出を要する行為(第14条に規定するものを除く。)とする。

(事前協議)

第16条 景観計画区域内において法第16条第1項又は第2項に掲げる行為をしようとする者は、届出前に市長に対し協議をしなければならない。

(届出対象行為の届出)

第17条 届出対象行為を行おうとする者は、あらかじめその旨を市長に届出なければならない。

2 前項の規定により行為の届出をした者が、当該届出に係る行為の内容を変更しようとする場合は、あらかじめ市長に届出なければならない。

(景観形成基準への適合)

第18条 法第16条第1項各号に掲げる行為を行おうとする者は、建築物等又は開発行為等が景観計画で定める景観形成基準に適合するようにしなければならない。

2 前項の規定に関わらず、重点区域における景観形成基準を定めたときは、当該重点区域の景観形成基準に適合するようにしなければならない。

(勧告又は命令)

第19条 市長は、法第16条第3項又は法第17条第1項若しくは第5項の規定に基づき、勧告又は命令をすることができる。

(公表)

第20条 市長は、前条の規定による勧告又は命令を受けた者がその勧告又は命令に従わないときは、規則第9条の規定する事項を公表するものとする。

2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ処分対象者に意見を述べる機会を与えなければならない。

(行為完了等の届出)

第21条 法第16条第1項又は第2項の規定による届出をした者は、当該届出に係る行為が完了し、又は中止したときは、市長にその旨を届出なければならない。

第3節 景観重要建造物及び景観重要樹木

(景観重要建造物及び景観重要樹木の指定等)

第22条 市長は、法第19条第1項の規定により景観重要建造物を、法第28条第1項の規定により景観重要樹木をそれぞれ指定することができる。

2 市長は、景観重要建造物又は景観重要樹木を指定したときは、所有者に通知するとともに、規則で定める事項を表示し、公表するものとする。

(現状変更の許可)

第23条 市長は、法第22条第1項に規定する景観重要建造物の現状変更について同項の規定により許可をしようとするとき、又は法第31条第1項に規定する景観重要樹木の現状変更について同項の規定により許可をすることができる。

(原状回復命令等)

第24条 市長は、法第23条第1項(法第32条第1項において準用する場合を含む。)の規定により景観重要建造物又は景観重要樹木に係る原状回復命令又はこれに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命じることができる。

(管理方法の基準)

第25条 法第25条第2項に規定する条例で定める管理の方法の基準は、次に掲げるものとする。

(1) 景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することのないようにすること。

(2) 消火器の設置その他の景観重要建造物の防災上の措置を講ずること。

(3) 腐食その他の劣化を防止する措置を講ずること。

(4) 景観重要建造物の滅失を防ぐため、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検し、規則で定めるところにより、その結果を市長に報告すること。

2 市長は、前項各号に掲げるもののほか、必要に応じ、景観重要建造物ごとに、景観重要建造物の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準を定めることができる。

第26条 法第33条第2項に規定する条例で定める管理の方法の基準は、次に掲げるものとする。

(1) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、剪定その他の必要な管理を行うこと。

(2) 景観重要樹木の滅失、枯死等を防ぐため、病害虫の駆除その他の措置を行うこと。

(3) 景観重要樹木について、定期的に点検し、規則で定めるところにより、その結果を市長に報告すること。

2 市長は、前項各号に掲げるもののほか、必要に応じ、景観重要樹木ごとに、景観重要樹木の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準を定めることができる。

(管理に関する命令又は勧告)

第27条 市長は、法第26条の規定により景観重要建造物又は法第34条の規定により景観重要樹木に必要な措置を命じ、又は勧告することができる。

(指定の解除)

第28条 市長は、法第27条第1項又は第2項の規定により景観重要建造物の指定を解除しようとするとき又は法第35条第1項又は第2項の規定により景観重要樹木の指定を解除することができる。

2 第22条第2項の規定は、前項の規定による景観重要建造物の指定の解除について準用する。

第3章 市民等との協働による景観形成の推進

(景観形成組織の認定)

第29条 市長は、地域の良好な景観の形成に関する活動を目的とし、現にその活動を行っている市民の組織で、規則第23条で規定する要件を満たすものを景観形成組織として認定することができる。

2 市長は、景観形成組織が認定の要件に該当しなくなったと認めるときは、該当認定を取り消すことができる。

(景観アドバイザー)

第30条 良好な景観の形成を推進するため、技術的及び専門的な助言を行う景観アドバイザーを置くことができる。

2 景観アドバイザーは、景観に関し優れた識見を有する者のうちから、市長が選任する。

3 前項に定めるもののほか、景観アドバイザーに関し必要な事項は、規則で定める。

(既存建築物等の景観形成に対する配慮)

第31条 市長は、建築物又は工作物等が景観計画に適合せず、かつ、良好な景観を著しく阻害していると認めるときは、その所有者、占有者又は管理者に対し、これらの良好な景観の形成に配慮した利用又は管理を行うように要請することができる。

第4章 山梨市景観づくり会議

(山梨市景観づくり会議の設置)

第32条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定により、市民との協力による、良好な景観の形成を推進するため、山梨市景観づくり会議(以下「景観づくり会議」という。)を設置する。

(所掌事務)

第33条 景観づくり会議は、良好な景観の形成に関する重要事項その他市長が特に必要と認める事項について調査、審議及び答申するとともに建議することができる。

(組織)

第34条 景観づくり会議は、委員15人以内をもって組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱又は任命する。

(1) 公募に応じた市民

(2) 学識経験のある者

(3) 各種団体の代表者

(4) 関係行政機関の職員

(5) その他市長が適当と認める者

3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、再任することができる。

(意見聴取)

第35条 次の各号に掲げる事項については、景観づくり会議の意見を聴かなければならない。ただし、第10号第11号については市長が必要と認めるときに限り、景観づくり会議の意見を聴くものとする。

(1) 第8条第2項に規定する景観計画の変更に関すること。

(2) 第11条第1項に規定する重点区域の指定、及び同条第3項に規定する重点区域の指定の変更及び解除に関すること。

(3) 第12条第1項に規定する重点区域における景観形成方針、及び同条第3項に規定する重点区域における景観形成基準を定めること。

(4) 第19条に規定する勧告又は命令に関すること。

(5) 第22条第1項に規定する景観重要建造物又は景観重要樹木の指定に関すること。

(6) 第23条に規定する景観重要建造物又は景観重要樹木の現状変更の許可に関すること。

(7) 第24条に規定する景観重要建造物又は景観重要樹木の原状回復等の命令に関すること。

(8) 第27条に規定する景観重要建造物又は景観重要樹木の管理に関する命令又は勧告に関すること。

(9) 第28条に規定する指定解除に関すること。ただし、法第27条第1項又は法第35条の規定により指定を解除しようとする場合で、指定の理由が消滅したことが明らかであると市長が認めるときは、この限りでない。

(10) 第31条に規定する既存建築物等の景観形成に対する配慮の要請に関すること。

(11) 第37条の規定による表彰に関すること。

(委任)

第36条 この章に定めるもののほか、景観づくり会議に関し必要な事項は、規則で定める。

第5章 表彰及び助成

(表彰)

第37条 市長は、良好な景観形成に貢献したと認められる個人又は団体を表彰することができる。

2 市長は、前項に定めるもののほか、良好な景観形成に寄与している建築物等及び屋外広告物、その他の物件のうち、特に優れているものについて、その所有者、設計者又は施工者等を表彰することができる。

(助成等)

第38条 市長は、法第81条第1項の景観協定を締結した者、景観形成組織又は景観形成の活動を行う者に対し、必要があると認めるときは、景観アドバイザー等の専門家の派遣若しくは技術的援助を行い、予算の範囲内において、その活動に要する費用の一部を助成することができる。

2 市長は、景観重要建造物又は景観重要樹木の保全のために必要があると認めるときは、当該所有者等に対して技術的支援を行い、予算の範囲内において、その保全に要する費用の一部を助成することができる。

第6章 雑則

(委任)

第39条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際、現に着手されている建築行為等については、なお従前の例によるものとし、第13条に規定する行為の届出は必要としない。

別表第1 届出対象行為(第13条関係)

区分

対象となる行為

景観計画区域

① 建築物の新築又は移転で、次のいずれかに該当するもの(既存建築物部分と増築部分の床面積を合わせた場合を含む)

ア 都市計画法に規定する商業地域で、高さ13m又は床面積の合計が500m2を超えるもの

イ 都市計画法に規定する用途地域のうち、商業地域を除く地域で、高さ10m又は床面積の合計が250m2を超えるもの

ウ 都市計画法に規定する用途地域以外の地域で、床面積の合計が10m2を超えるもの

② 建築物の増築又は改築で、上記ア.イ.ウ.に該当する建築物で、行為に係る床面積の合計が10m2を超えるもの

③ 建築物の外観を変更することとなる修繕若しくは模様替え又は色彩の変更等で、上記ア.イ.ウ.に該当する建築物で、変更部分の合計面積が外観の面積の10分の1以上のもの

工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕、模様替え若しくは色彩の変更で、次のいずれかに該当するもの

ア 煙突、記念塔、装飾塔、彫刻その他これらに類するもので、高さ6mを超えるもの

イ 高架水槽、その他これらに類するもので、高さ8mを超えるもの

ウ 垣、さく、塀、その他これらに類するもので、高さ2mを超えるもの

エ 遊戯施設、製造プラント、貯蔵施設、処理施設、その他これらに類するもの

オ 電柱、鉄塔、アンテナ、その他これらに類するもので、高さ15mを超えるもの

カ 地上に設置する太陽光発電施設でソーラーパネルの表面積の合計が10m2を超えるもの、風力発電施設で高さが15mを超えるもの、小水力発電施設で築造面積が10m2を超えるもの

面積が1,000m2を超える開発行為

90日を超える屋外における物品の集積又は貯蔵で、物品の高さ5m又はその用に供されている土地の面積1,000m2を超えるもの

別表第2 届出を要しない行為(第14条関係)

① 別表第1に定める届出を要する行為の規模に満たないもの

② 文化財保護法(昭和25年法律第214号)の許可又は届出を受けて行う行為

③ 山梨県文化財保護条例(昭和31年山梨県条例第29号)の許可又は届出並びに山梨市文化財保護条例(平成17年山梨市条例第106号)の承認を受けて行う行為

④ 景観計画区域が指定された際に、既に着手している行為

⑤ 建築物や工作物で、仮設の場合や外観の変更を伴わない改築

⑥ 屋外における物品等の集積又は貯蔵で、その用に供される土地の周辺の道路等から見通すことができない行為

⑦ 地盤面下又は水面下における行為

⑧ 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為

山梨市景観条例

平成27年12月22日 条例第29号

(平成28年4月1日施行)

体系情報
第11編 設/第2章 都市計画・公園・下水道
沿革情報
平成27年12月22日 条例第29号