○山梨市債権管理条例

令和5年12月22日

条例第38号

(目的)

第1条 この条例は、市の債権の管理に関し必要な事項を定めることにより、市の債権管理の適正化を図り、もって市民負担の公平性の確保及び円滑な行財政運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市の債権 地方自治法(昭和22年法律第67号)第240条第1項に規定する金銭の給付を目的とする市の権利をいう。

(2) 市税 地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づく徴収金に係る債権をいう。

(3) 公債権 市の債権のうち、地方自治法第231条の3第1項に規定する分担金、使用料、加入金、手数料、過料その他の普通地方公共団体の歳入に係るものをいう。

(4) 私債権 市の債権のうち、公債権以外のものをいう。

(5) 強制徴収公債権 公債権のうち、法令の規定に基づき国税又は地方税の滞納処分の例により処分することができるものをいう。

(6) 強制徴収債権 市の債権のうち、市税及び強制徴収公債権をいう。

(7) 非強制徴収公債権 公債権のうち、強制徴収公債権以外のものをいう。

(8) 非強制徴収債権 市の債権のうち、私債権及び非強制徴収公債権をいう。

(法令等との関係)

第3条 市の債権の管理に関する事務処理については、法令又は他の条例若しくは規則(地方自治法第138条の4第2項に規定する規則その他規程及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する企業管理規程を含む。以下「法令等」という。)に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。

(市長の責務)

第4条 市長は、市の債権の管理に関する事務について、法令等の定めるところにより、これを適正に処理しなければならない。

(台帳の整備)

第5条 市長は、市の債権を適正に管理するため、規則で定める事項を記載した台帳(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。)を整備しなければならない。ただし、証明書発行手数料その他債権の性質上市長が特に必要がないと認める債権については、この限りでない。

(督促)

第6条 市長は、市の債権について、履行期限までに履行しない者があるときは、法令等の定めるところにより、これを督促しなければならない。

(債権に関する情報の共有)

第7条 市長は、履行期限までに履行されない市の債権がある場合において、市の債権管理を適正に行うため必要があると認めるときは、当該事務の遂行に必要な限度で、規則で定める情報を実施機関(山梨市情報公開条例(令和4年山梨市条例第21号)第2条第1号に規定する実施機関をいう。以下同じ。)内において利用し、他の実施機関に提供し、又は他の実施機関から収集することができる。

2 市長は、前項の規定により利用し、又は収集した情報を当該債権の管理に関する事務以外の事務に利用してはならない。

3 市長は、第1項の規定により利用し、又は収集した情報を当該債権の管理に関する事務に利用する場合は、当該債権者及び第三者の権利利益を不当に侵害してはならない。

(滞納処分等)

第8条 市長は、強制徴収債権の滞納処分並びに徴収猶予、換価の猶予及び滞納処分の停止については、法令等の定めるところにより、これを行わなければならない。

(強制執行等)

第9条 市長は、非強制徴収債権について、第6条の規定による督促後、相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次に掲げる措置をとらなければならない。ただし、第12条に規定する徴収停止の措置をとる場合又は第13条の規定により履行期限を延長する場合その他特別の事情があると認める場合は、この限りでない。

(1) 担保の付されている債権(保証人の保証があるものを含む。)については、当該債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。

(2) 債務名義のある債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。

(3) 前2号に該当しない非強制徴収債権(第1号に該当する非強制徴収債権で同号の措置をとってもなお履行されないものを含む。)については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。

(履行期限の繰上げ)

第10条 市長は、市の債権について、履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第13条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。

(債権の申出等)

第11条 市長は、市の債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令等の規定により市が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。

2 前項に規定するもののほか、市長は、市の債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。

(徴収停止)

第12条 市長は、非強制徴収債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。

(1) 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。

(2) 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。

(3) 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。

(履行延期の特約等)

第13条 市長は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。

(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。

(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。

(3) 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。

(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。

(5) 貸付金に係る債権について、債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において、当該第三者に対する貸付金に関し、第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別の事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため、当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。

2 市長は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合においては、既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る債権は、徴収すべきものとする。

(免除)

第14条 市長は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした非強制徴収債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。

2 前項の規定は、前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る非強制徴収債権で、同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については、債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。

(権利放棄)

第15条 市長は、私債権について、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該債権及び当該債権につき既に発生した履行の遅延に係る損害賠償金等を放棄することができる。

(1) 当該債権について消滅時効に係る時効期間が満了したとき。(債権者が時効を援用しない特別の理由があるときを除く。)

(2) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項、会社更生法(平成14年法律第154号)第204条第1項その他の法令の規定により、債務者が当該債権につきその責任を免れたとき。

(3) 債務者が死亡し、その債務について限定承認があった場合、相続人全員が相続放棄した場合又は相続人が存在しない場合において、その相続財産の価額が強制執行をした場合の費用並びに他に優先して弁済を受ける債権の金額の総額を超えないと見込まれるとき。

(4) 第9条に規定する強制執行等の措置又は第11条に規定する債権の申出等の措置をとったにもかかわらず、なお完全に履行されない当該債権について、強制執行等の措置又は債権の申出等の措置が終了したときにおいて、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、弁済することができる見込みがないと認められるとき。

(5) 第12条に規定する徴収停止の措置をとった当該債権について、徴収停止の措置をとった日から相当の期間を経過した後においても、なお債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、弁済することができる見込みがないと認められるとき。

(6) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の適用を受け、又はこれに準ずる状態をいう。)にあり、資力の回復が困難で、当該債権について弁済することができる見込みがないと認められるとき。

(7) 債務者が失踪、所在不明その他これに準ずる事情にあり、当該債権について徴収の見込みがないとき。

2 市長は、前項の規定により私債権を放棄したときは、これを議会に報告しなければならない。

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、債権の管理に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和6年4月1日から施行する。

山梨市債権管理条例

令和5年12月22日 条例第38号

(令和6年4月1日施行)