○山梨市中小企業及び小規模企業振興基本条例
平成30年6月27日
条例第23号
本市は、豊かな自然環境の中に、農工混在の産業構造を形成し、製造業、観光業、小売業など多岐にわたる産業が地域経済を支えてきた。
しかしながら、近年、少子高齢化の進行とそれに伴う人口減少、経済のグローバル化など、社会構造は目まぐるしく変化し続け、中小企業者及び小規模企業者(以下「中小・小規模企業」という。)を取り巻く環境は一層厳しさを増している。
このような状況において、本市を古くから支え、市民の雇用や暮らしにとって大きな役割を担ってきた中小・小規模企業が、今後も持続的な発展を遂げることは、本市経済の活性化に欠かせない重要なことである。
そのためには、中小・小規模企業が自ら創意工夫をもって活動し、また、市民や行政、その他様々な主体が、地域の一員であることを自覚し、連携・協働し、共通認識を持って、それぞれの役割のもと、中小・小規模企業の振興に向けた取り組みを展開していく必要がある。
そこで、本市において、中小・小規模企業の振興に向けた基本理念を明確にし、市民生活の向上の実現に向け、市や中小・小規模企業、地域経済団体、大企業者、金融機関、教育機関、市民が一体となり、施策を総合的に推進するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、中小・小規模企業の振興について、基本理念及び中小・小規模企業の振興に関する基本的な施策を定め、総合的かつ計画的に推進し、市の責務、中小・小規模企業の努力、地域経済団体、大企業者、金融機関、教育機関の役割並びに市民の理解及び協力を明らかにすることで、地域経済の持続的な発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号のいずれかに該当するもので、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2) 小規模企業者 法第2条第5項に該当するもので、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(3) 地域経済団体 商工会法(昭和35年法律第89号)第3条に規定する商工会並びに中小・小規模企業の振興を目的とする団体で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(4) 大企業者 中小・小規模企業以外の事業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(5) 金融機関 銀行、信用金庫、信用組合、その他の金融機関で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(6) 教育機関 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する市内の学校をいう。
(7) 市民 市内に在住、在勤又は在学するものをいう。
(基本理念)
第3条 中小・小規模企業の振興は、次に掲げる基本理念に基づき推進するものとする。
(1) 中小・小規模企業の創意工夫及び自主的な努力による取り組みを尊重し推進すること。
(2) 中小・小規模企業の経済的社会的環境の変化への円滑な適応が図られること。
(3) 市、国、県、中小・小規模企業、地域経済団体、大企業者、金融機関、教育機関及び市民の相互の連携、協働が行われること。
(4) 市の産業の持続的な発展に資する総合的施策を推進し、地域内経済循環の促進が図られること。
(市の責務)
第4条 市は、前条の基本理念に基づいた振興施策を、社会的、経済的、その他重大な変化に応じて実施するものとする。
2 市は、中小・小規模企業の実態を把握し、振興施策にその意見を反映するものとする。
3 市は、振興施策の推進にあたり、国、県、中小・小規模企業、地域経済団体、大企業者、金融機関、教育機関及び市民と連携・協働し、効果的に実施するよう努めるものとする。
4 市は、中小・小規模企業の実情に特段の配慮をするとともに、安定的な雇用の確保等を含む事業の継続的な発展に資する支援を行うように努めるものとする。
(中小・小規模企業の努力)
第5条 中小・小規模企業は、自主的に経営力の向上、経営基盤の強化、従業員の福利厚生の向上及び雇用の安定に努めるものとする。
2 中小・小規模企業は、地域社会を構成する重要な立場にあることを自覚し、創意工夫をもって、地域環境との調和及び豊かで住みよい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。
3 中小・小規模企業は、地域経済の振興を図るため、市産品の積極的な利活用及び地域経済団体の加入に努めるものとする。
(地域経済団体の役割)
第6条 地域経済団体は、基本理念に則り、中小・小規模企業の自主的な努力を促し、経営向上及び改善に資する積極的な支援並びに、中小・小規模企業の相互連携の促進に努めるものとする。
2 地域経済団体は、市が実施する中小・小規模企業の振興施策に積極的に協力するとともに、振興事業を積極的に推進するものとする。
(大企業者の役割)
第7条 大企業者は、地域社会を構成する重要な立場にあること並びに、中小・小規模企業の事業活動の維持及び発展に欠くことのできない重要な存在であることを自覚し、中小・小規模企業との連携、協働及び地域経済団体の加入に努めるものとする。
2 大企業者は、地域経済の発展における中小・小規模企業の果たす役割の重要性を理解し、市が実施する中小・小規模企業の振興施策に協力するよう努めるものとする。
(金融機関の役割)
第8条 金融機関は、円滑な資金供給及び経営相談等を通じて中小・小規模企業の経営基盤の強化及び経営の向上の支援に積極的に取り組むとともに、市が実施する中小・小規模企業の振興施策に協力するよう努めるものとする。
(教育機関の役割)
第9条 教育機関は、中小・小規模企業の事業活動に協力し、人材育成及び研究成果の普及に努めるものとする。
2 教育機関は、学生等に対し、郷土愛護の精神を養うとともに、地域への理解を深め、地域を担う人材の育成に努めるものとする。
(市民の理解及び協力)
第10条 市民は、中小・小規模企業が地域社会の発展及び市民生活の向上に重要な役割を果たしていることを理解し、その経営や社会貢献に関心を持つよう努めるものとする。
2 市民は、地域社会とともに歩む中小・小規模企業と共生する視点に立って、中小・小規模企業の発展に協力するよう努めるものとする。
3 市民は、消費者として中小・小規模企業が市内で生産・販売する製品の購入及び提供するサービスを積極的に利用するよう努めるものとする。
(基本的な施策)
第11条 市は、第3条の基本理念に基づき、次に掲げる基本的な施策を行うものとする。
(1) 中小・小規模企業の経営基盤の強化及び経営革新を支援すること。
(2) 中小・小規模企業の創業及び新たな事業の創出を促進すること。
(3) 中小・小規模企業の事業拡大を支援すること。
(4) 中小・小規模企業の資金調達の円滑化を図るため、融資制度を支援すること。
(5) 中小・小規模企業、地域経済団体、大企業者、金融機関、教育機関、市民それぞれの相互連携及び協働を図ること。
(6) 中小・小規模企業の雇用の促進及び労働環境の整備を支援すること。
(7) 中小・小規模企業に関する情報の収集及び発信を行うこと。
(8) 中小・小規模企業の事業活動を担う人材の確保及び育成を支援すること。
(9) 工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行並びに透明かつ公正な競争及び契約の適正な履行の確保に留意しつつ、地域社会の発展及び雇用の促進に取り組む中小・小規模企業の受注機会の増大に努めること。
(10) 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者の指定に当たっては、透明かつ公正な選定手続及び公の施設の効果的な管理の確保に留意しつつ、地域社会の発展及び雇用の促進に取り組む中小・小規模企業の参入機会の増大に努めること。
(11) 前各号に掲げるもののほか、中小・小規模企業の振興に資する施策に関すること。
附則
この条例は、平成30年7月1日から施行する。