○山梨市環境基本条例

平成17年4月25日

条例第234号

本市は、面積の約8割を森林が占め、甲武信ケ岳に代表される秩父山系や西沢渓谷など秩父多摩甲斐国立公園の区域内にある北部の山々、山梨県自然環境保全地区に指定されている乙女高原や小樽山など緑豊かな山並みに囲まれ、青い空、澄んだ空気、おいしい水、広大な果樹園地そして、日本有数の桃とぶどうの里であり、市内を流れる笛吹川、重川、日川の清流の恩恵を受け古くから峡東地域の政治、経済、文化の拠点として栄えてきた。

しかしながら、今日、大量生産、大量消費、大量廃棄などの社会経済活動が環境に与える負荷は増大してきており、生活排水による水質汚濁や廃棄物の増大への対応、治山治水、水資源確保の役割としての森林の保護及び遊休農地や水辺の有効活用などが、重要な課題となっている。

また、生産の向上と便利な生活を追及するあまり、資源やエネルギーを大量に消費することによる環境への影響は、地域のみならず地球全体にまで及ぶようになってきており、環境問題の解決に向けた積極的な対応が求められている。

私たちは、取り巻く環境が有限なものであることを深く認識し、健全で恵み豊かな環境を継承していくとともに、環境への負荷の少ない持続的に発展することのできる循環型社会を構築していかなければならない。

このためには、環境の保全及び創造に関する基本的な事項を定め、市、市民及び事業者が共通の認識に立って、それぞれの立場から具体的な取り組みを行うことが必要である。

私たちは、共に力を合わせて環境の保全及び創造を推進し、人と環境が共生するまちをつくるために、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造(以下「環境の保全等」という。)について、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全等に関する基本的な事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全を図る上で支障になるおそれのあるものをいう。

(2) 事業者 市内において継続的に物の生産又は役務の提供等事業活動を行っているものをいう。

(3) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で安全かつ快適な生活の確保に寄与するものをいう。

(4) 公害 環境保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接に関係のある財産並びに動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生じることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全等は、次に掲げるものを基本理念とする。

(1) 現在及び将来の市民が安全で健康かつ快適な環境を享受するとともに、良好な環境が将来にわたり引き継がれていくように推進されなければならないこと。

(2) すべての者が資源の適正な管理及び循環的な利用を図り、環境への負荷を低減することによって、持続的に発展することが可能な循環型社会が構築されるよう推進されなければならないこと。

(3) 地域の環境が地球全体の環境と深く関わっていることにかんがみ、日常生活及び事業活動において、地球の環境にも配慮した自発的な取り組みにより推進されなければならないこと。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活に伴う環境への負荷の低減に努め、環境の保全等に自ら取り組むとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動に伴う環境への負荷の低減、環境汚染の防止、その他の環境の保全等に自ら取り組むとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。

(基本的な施策)

第7条 市は、基本理念の実現を図るため、公害の防止、自然環境の保全等に係わる施策を継続し、その充実に努めるとともに、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1) うるおいとやすらぎのある快適な都市環境の創造に関すること。

(2) 資源の循環利用、廃棄物の発生抑制、エネルギーの有効利用等に関すること。

(3) 地球温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境保全に関すること。

2 市は、前項の施策を実現するに当たっては、市民及び事業者の自発的な活動を推進するため、適切な市民参加の方策を講ずるよう努めるものとする。

3 市は、すべての者が人と環境の関わりについての理解及び認識を深めるため、環境学習の推進に努めるものとする。

(環境基本計画の策定)

第8条 市長は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全等に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全等に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向

(2) 環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画の策定に当たっては、市民、事業者及びこれらの者をもって組織する民間の団体(以下「市民等」という。)の意見を反映するために必要な措置を講ずるとともに、山梨市環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(規制等の措置)

第9条 市は、公害その他の環境の保全上の支障を防止するために、必要な規制及び指導等の措置を講ずるものとする。

(促進的措置)

第10条 市は、市民等の環境の保全等に関する自発的な活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(施設整備等の推進)

第11条 市は、下水道、廃棄物の処理施設その他の環境保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備を図るための事業を推進するものとする。

2 市は、公園、緑地、河川その他の快適な生活の確保のための施設等に資する公共的施設の整備並びに森林の保護及び遊休農地の活用を図るための事業を推進するものとする。

(廃棄物の減量の推進等)

第12条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用が推進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用促進を図るため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境学習の充実)

第13条 市は、市民等が環境への意識を高め、環境に配慮した取り組みが推進されるように、学校、地域、事業所、家庭等の場を通じて、環境学習の充実に努めるものとする。

(情報の提供)

第14条 市は、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境の現況その他の環境保全等に関する情報を適切に提供するように努めるものとする。

(市民等の意見の反映)

第15条 市は、環境の保全等に関する施策に、市民等の意見を反映することができるように必要な措置を講ずるものとする。

(報告及び公表)

第16条 市長は、環境の現状及び環境保全等に関する施策の実施状況に関する報告を毎年作成し、公表するとともに審議会の意見を聴かなければならない。

(調査及び研究)

第17条 市は、環境の状況の把握並びに環境変化の予測に関する調査その他の環境の保全等に関する施策の策定に必要な調査及び研究に努めるものとする。

(監視等の体制の整備)

第18条 市は、環境の保全等に関する施策を適正に実施するために必要な監視、巡視、測定及び検査の体制の整備に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第19条 市は、市民等と協力して、環境の保全等に関する施策を推進するために必要な体制を整備するように努めるものとする。

(地球環境保全の推進)

第20条 市は、地球温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境保全に貢献することのできる施策を推進するものとする。

(国等との協力)

第21条 市は、環境保全等に関する広域的な取り組みを必要とする施策を実施するに当たっては、国及び他の地方公共団体との協力に努めるものとする。

(委任)

第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成17年4月25日から施行する。

山梨市環境基本条例

平成17年4月25日 条例第234号

(平成17年4月25日施行)