○山梨市男女共同参画社会推進条例
平成17年4月25日
条例第233号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第9条)
第2章 男女共同参画社会の推進に関する基本的施策(第10条~第18条)
第3章 男女共同参画推進委員会(第19条~第27条)
第4章 雑則(第28条)
附則
我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が進められてきた。
山梨市においては、国際社会や国内の動向を踏まえつつ、平成4年には「山梨市女性プラン」を、また、平成15年には、その後の社会経済情勢の変化に対応した「やまなしし男女共同参画プラン」を策定し、男女平等に向けた推進活動を積極的に展開している。
21世紀を迎え、少子高齢社会の到来、情報化、国際化など社会経済情勢が急速に変化する中、山梨市が将来にわたりこころ豊かで活力のあるまちとしてあるためには、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任を分かち合い自立した個人として、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会を実現することが緊要な課題である。
このような認識の下に、私たちは真の男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の推進に関し基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育に携わるものの責務を明らかにするとともに、市の施策について必要な基本的事項を定めることにより、男女共同参画社会の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民一人一人の人権が尊重され、真に男女が平等に共同参画することのできるこころ豊かで活力のある社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画社会 男女が社会の対等な構成員として互いの人権を尊重し、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会をいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 市民 市内に居住し、通勤し、通学し、又は市内で活動するすべての者をいう。
(4) 事業者 市内において、公的機関、民間を問わず、又は営利、非営利を問わず事業活動を行うすべての個人、法人及び団体をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画社会の推進は、次の基本理念にのっとり、その推進が図られなければならない。
(1) 男女共同参画社会の推進は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人としての能力を発揮する機会が確保されること、男女の生涯にわたる性と生殖に関する健康と権利が尊重されること、その他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
(2) 男女共同参画社会の推進に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできるだけ中立なものとするよう配慮されなければならない。
(3) 男女共同参画社会の推進は、男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は事業者における方針の立案及び決定過程に、男女が共同して参画する機会を確保されることを旨として、行われなければならない。
(4) 男女共同参画社会の推進は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
(5) 男女共同参画社会の推進は、児童をはじめ次世代を担う者が、学校、地域、家庭その他のあらゆる場面において、性別による差別的取扱いを受けることなく、豊かな個性と能力を十分発揮できるような教育を受けられることを旨として、行われなければならない。
(6) 男女共同参画社会の推進に関する取組が、国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、国際的協調の下に行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める男女共同参画社会の推進についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施するものとする。
2 市は、市民、事業者、国、県、他の地方公共団体及び関係団体と連携し、及び協力して前項の施策を実施するものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の推進に積極的かつ主体的に取り組むよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女が職業生活における活動と家庭生活における活動とを両立して行うことができる職場環境の整備その他の男女共同参画社会の推進に努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画社会の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(教育に携わるものの責務)
第7条 職場教育、学校教育、社会教育、家庭教育その他あらゆる場面において教育に携わる者は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会づくりの重要性について理解を深める教育を行うように努めなければならない。
(男女共同参画社会の推進を阻害する行為の禁止)
第8条 何人も、男女共同参画社会の推進を阻害する次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) 個人の生活の環境を害する性的な言動又は性的な言動に対する個人の対応により当該個人に不利益を与える行為
(2) 配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情のあるものを含む。以下同じ。)又は過去において配偶者であった者に対する身体的苦痛又は著しい精神的苦痛を与える暴力的行為
(公衆に表示する情報に関する留意)
第9条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び暴力を助長する表現並びに性的感情を著しく刺激する表現を行わないよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画社会の推進に関する基本的施策
(基本計画)
第10条 市は、男女共同参画社会の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画社会の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画社会の推進に関する施策の大綱
(2) 前号の大綱に基づき実施すべき男女共同参画社会の推進に関する具体的な施策
(3) 前2号に掲げるもののほか、男女共同参画社会の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ山梨市男女共同参画推進委員会の意見を聴くとともに、市民の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずるものとする。
4 市長は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第11条 市は、男女共同参画社会の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画社会の推進に配慮するものとする。
(教育及び学習の促進)
第12条 市は、学校、地域、家庭等における教育及び市民の学習の機会において、男女共同参画社会の推進に関する教育及び学習の促進のために適切な措置を講ずるものとする。
(市民及び事業者の関心と理解を深めるための措置)
第13条 市は、広報活動等を通じて、男女共同参画社会の推進についての市民及び事業者の関心と理解を深めるよう適切な措置を講ずるものとする。
(市民等の活動に対する支援)
第14条 市は、市民、事業者又は市民の地域活動組織が行う男女共同参画社会の推進に関する活動を支援するため、情報の提供、人材の育成その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(自営の農林業、商工業等における就業環境の整備の促進)
第15条 市は、自営の農林業、商工業等において、男女が経営における役割を適正に評価されるとともに、男女が自らの意思によって経営及びこれに関する活動に共同して参画する機会を確保するための就労環境の整備を促進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(苦情処理及び相談への対応)
第16条 市は、市が実施する男女共同参画社会の推進に関する施策又は男女共同参画社会の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての市民又は事業者からの苦情の適切な処理のため必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する行為についての市民又は事業者からの相談に対して、関係機関と協力して適切に対応するよう努めるものとする。
3 第1項の場合において、市長は、必要があると認めるときは、山梨市男女共同参画推進委員会の意見を聴くものとする。
(調査研究)
第17条 市は、男女共同参画社会の推進に関する施策を策定し、及び実施するために必要な調査研究を行うものとする。
2 市長は、必要があると認める場合には、市民及び事業者に対し、男女共同参画社会の推進の状況に関する調査について協力を求めることができる。
(男女共同参画社会の推進状況等の公表)
第18条 市長は、毎年度、男女共同参画社会の推進状況及び男女共同参画社会の推進に関する施策の実施について、公表するものとする。
第3章 男女共同参画推進委員会
(設置)
第19条 男女共同参画社会の推進を図るため、山梨市男女共同参画推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(所掌事項)
第20条 委員会の所掌事項は、次のとおりとする。
(1) 市長の諮問に応じ、男女共同参画社会の推進に関する重要事項を調査審議すること。
(組織)
第21条 委員会は、委員20人以内で組織する。
2 男女いずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
(委員)
第22条 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱又は任命する。
(1) 学識経験のある者
(2) 男女共同参画に関係する団体の役職員
(3) 事業者を代表する者
(4) 公募に応じた者
(5) その他市長が適当と認めた者
2 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。
(会長及び副会長)
第23条 委員会に会長及び副会長を置く。
2 会長及び副会長は、委員が互選する。
3 会長は、委員会を代表し、会務を総理する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(会議)
第24条 委員会の会議は、会長が招集する。
2 委員会は、委員の2分の1以上が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数の時は、会長の決するところによる。
(特別委員)
第25条 委員会に特別の事項を調査審議させる必要がある時は、特別委員を置くことができる。
2 特別委員は、市長が委嘱又は任命する。
3 特別委員は、当該特別の事項に関する調査審議が終了した時は、解任されるものとする。
(専門部会)
第26条 委員会は、その定めるところにより、専門部会を置くことができる。
2 専門部会に部会長を置き、会長が指名する委員がこれに当たる。
3 専門部会に属すべき委員は、会長が指名する。
(会長への委任)
第27条 この章に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、会長が委員会に諮って定める。
第4章 雑則
附則
この条例は、平成17年4月25日から施行する。