平成22年6月定例市議会の開会にあたり、私の山梨市政に対する所信と施策の基本的な考え方について申し上げますとともに、提出いたしました案件につきまして、その概要を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様方のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
初代山梨市議会議長であります志村忍議員におかれましては、去る5月18日未明、ご家族のみならず多くの市民の皆様の回復への祈りもむなしく、ご逝去されました。謹んでお悔やみを申し上げます。
志村議員には、昭和61年8月旧山梨市議会議員に初当選以来、豊富な行政経験と卓越した識見をもって連続8期約24年間の永きにわたり、産業、経済、文化、福祉、教育等の向上に多大なご貢献をいただきました。
温厚誠実にして品行方正、高潔な人柄で、その卓越なる識見と指導力は高く評価され、区長、消防分団長、同窓会などの役職も務め、広く住民の信望を受けておりました。
議員としては特に、市町村合併に尽くされ、新山梨市の初代議長として、議員の一体感の高揚に尽力し、「市と市議会が両輪となって建設的な意見交換に努め、誰もが合併してよかったと実感できる街づくり」を目指し、円滑な議会運営にその手腕を発揮されました。「勇気と責任」を信条とし、自分が正しいと信じたことは、周囲の圧力に屈せずに『勇気』をもって貫き、政治家としての行動には、重大な『責任』が伴うことを常に自らに律しておりました。
また、住民の安心安全を守る消防行政を中心とする東山梨行政事務組合の議長としてもご尽力いただき、合わせて関東市議会議長会支部長、全国市議会議長会理事を務め地方自治発展に努めていただきました。
このような多大な功績を称えながら、市民の皆様とともに故志村忍議員のご冥福をお祈り申し上げます。
去る2日、鳩山首相の突然の辞意表明は、多くの国民が政権交代に期待していただけに残念であります。
課題が山積みし、極めて社会経済情勢が不安定な中で、国政の不安定が地方に及ぼす影響は大きく、一日も早い国政の安定を望むものであります。
新たに発足した、菅新政権においても、国民の生活を第一に考えた政権運営を期待するものであります。
さて、今年も間もなく梅雨の時期となり、うっとうしい季節に入りますので、議員各位、市民の皆様には、体調には十分留意され、この夏を元気で乗り切っていただきたいと存じます。
本市の基幹産業であるサクランボ、李など果樹の開花期における日照不足と寒暖の差、凍霜害による天候不順により、結実の状況は必要着果量を下回っており、生産量への影響が少ないことを願ってやみません。
市長就任から4か月近くが経過する中で、新年度に入って、各地域で行われた行事などに参加させていただきました。「かのがわ古道と菜の花街道」「オーチャード・ヴィレッジ・フフの菜の花と山菜まつり」「西沢渓谷の山開き」など、地域の方々が主体となって実施している様子は、自らの手で良くしていこうという熱意があふれており、地域力に期待が寄せられました。
また、「ライオン山梨の森」においては、この春、株式会社ライオンの社員有志や新入社員研修生、ライオン本社が所在する墨田区の住民が4回にわたって訪れていただき、間伐作業や植林作業を実施していただきました。本市にとっては誠にありがたいことであり、こうした熱意に対して市民の方からも応えていきたいものであります。
さて、国政では、「地域のことは地域に住む住民が決める」地域主権改革を1丁目1番地に掲げ関連3法案を国会で審議中であります。
この中で、国庫補助交付金など、ひもつき補助金を地域に必要な事業「何に使ってもいい」一括交付金化や、義務付け枠付けの見直しなど基本的な考えが今月には示されるものと考えられます。
補助金が一括交付金化された場合に地方の自由度は増すものと考えられますが、社会保障経費など義務的経費において、自主財源の少ない自治体では、最低限のサービス提供に影響を受けることが考えられますので、一括交付金化へは、事業内容を十分に精査する中での対応を図っていただきたく、市長会を通じた要望を行っているところであり、今後の動向に注視して参りたいと考えております。
私の市政運営の基本姿勢などについては、先の3月定例議会で申し上げましたが、具体的な施策について述べさせていただき、厳しい財政状況ではありますが、議員各位並びに市民の皆様方のご理解とご協力で、山梨市総合計画の将来像である「人・地域・自然が奏でる和みのまち山梨市」の推進に努めて参りたいと考えております。
先ず、山梨市中期財政計画についてであります。
合併時のまちづくり計画に基づき、小中学校校舎の耐震補強、新庁舎整備、基幹道路網整備など積極的に推進して参りました。合わせて行財政改革を強力に推進して参りましたが、景気後退の影響を受け税収の減少、国庫補助交付金の削減などで財政調整基金の取り崩し、市債の返済額の増加など厳しい財政状況であります。
質の高い行政サービスを提供していくためには、これまで以上に将来を見据えた堅実な財政運営が必要であります。
自主財源の市税は、高額納税者である団塊世代の退職、景気低迷の影響による派遣労働者の増加などで減収、地方交付税も国税の減収・補てん分の精算で減額が見込まれるため、第二次行財政改革に基づき、地域の意見を聞く中で保育園の統合、指定管理者への移行、事務事業の整理統合や業務委託の推進、滞納整理の強化、未利用財産の処分、受益者負担金の原則から使用料や負担金の見直しによる財源の確保を図りたいと考えております。
具体的な施策としては、子宮頚がんワクチンの助成、生活習慣病などの予防対策、次世代エネルギーパークの推進、保育園・公民館の耐震補強、修繕未実施の小中学校校舎整備、庁舎南棟の整備、生活道路や継続の主要道路である小原東東後屋敷線・落合正徳寺線・野背坂線の整備、山梨市駅南・南反保の整備などを、限られた財源の中で、効率的に配分し、実施して参りたいと考えております。
このため、歳入歳出の推移、基金や地方債の残高、財政収支等を現状見込み得ることができる一般財源を基に本年度から5か年の中期財政計画を策定し、毎年度、社会経済情勢の変化を踏まえて計画の修正を行いながら財政運営を行うものであります。
なお、予算規模は、合併後各年度の決算における総額と一般財源の比率から標準財政規模に対する145%以下、概ね150億円以下が望ましいと考えられます。
次に、子宮頚がん予防ワクチン経費の助成についてであります。
女性の20歳代から40歳代に急増している子宮頚がんは、この年代の女性に発症する悪性新生物の第1位を占めております。
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスによる感染が原因で発症することが明らかとなり、予防ワクチンとして承認され、昨年12月に販売が開始されました。
子宮頚がんは、唯一の「予防可能ながん」であり、11歳から15歳に対するワクチン接種により、発症の危険性を高い確率で軽減する効果が期待できるため、重篤化による医療費の抑制、健康の保持・増進と少子化対策含め、それぞれの負担を軽減する環境整備を図ること等を目的として、費用の上限を45,000円とする「山梨市子宮頸がんワクチン予防接種費助成事業」を制定するものであります。
接種対象者は、本市に住所を有している小学校6年生としますが、本年度から3年間、中学校3年生も対象とします。
なお、山梨県も助成制度を定め3分の1の額を限度として助成しますので、市の負担は3分の2の額30,000円程度となります。
接種は任意ですが、対象者は全員が接種を受けていただきたいと思います。また、子宮頚がん健診の制度もありますので、積極的に活用し予防を図っていただきたいと考えております。
次に、子育て支援についてであります。
国の安心こども基金地域子育て創生事業により、本年度12の事業を行います。内容は、子育てガイドブックの作成、講師を呼んでの子育て支援の講演会、親子ふれあいコンサートなどソフト事業のほか、児童センターや集いの広場たっちへの備品購入や改修などのハード事業であり、総事業費は3,145万円余、100%の補助事業であります。
国の補助制度は本年度で終了しますが、講演会やコンサート事業などのソフト事業は、子どもだけでなく、子育て中の保護者にも必要があると考え、補助が無くなる明年度以降も続けられるようその内容等を検討して参りたいと考えております。
次に、障害児・者の地域生活支援事業についてであります。
障害者のための地域生活支援事業のうち日中一時支援事業は、一時的に見守り等の支援が必要な知的障害児・者または身体障害児がいる家庭で、保護者や家族等介護者の就労支援及び一時的な休息のため、障害者等の日中における活動の場を提供する事業であり、利用時間は年間240時間を限度としております。
しかし、障害者等の家庭の疾病や就労等の事情により保護者等が不在の場合には、120時間を限度として利用時間を追加しておりましたが、障害児の放課後や長期休暇中の対応を要望する家庭も多いことを考慮し、今年度から30時間を上乗せし、利用時間の追加を150時間を限度とすることといたしました。
次に、保育園、公民館の耐震補強と修繕未実施の小中学校校舎等整備についてであります。
公共施設の耐震化については、児童生徒の安全を第一とする中で、小中学校の耐震化を図ってきたところであります。
前年度予算において、小中学校の耐震化は整備完了となりますので、本年度から保育園、公民館について年次計画で整備を進めて参りたいと考えております。また、小中学校で耐震補強工事に合わせて修繕を実施して参りましたが、補助制度の中で実施できなかった学校施設の修繕、及び給食施設も自校又はセンター方式について検討し、計画的に整備を行って参りたいと考えております。
次に、エコライフの推進に向けた取り組みについてであります。
本市では、地域資源を活用した新エネルギーの導入計画を進め、エコツアーや環境教育を推進することにより、次世代エネルギーのあり方を市内外の多くの方に理解していただくことを目的に次世代エネルギーパーク計画を実施して参りました。
本年からは、この事業をさらに推進することはもとより、市民の皆様が、身近なところから環境について考え、環境にやさしいライフスタイル「エコライフ」へ転換していく契機となるような取り組みを推進して参りたいと考えております。
本年4月にオープンした、「エコハウスやまなし」を最大限活用して「マイはし・マイバック・エコキャンドル作り、生ゴミをリサイクルした家庭菜園教室」など「やまなしエコライフ県民運動」の一環ともなる、各種環境教育関連イベントを開催して参ります。
また、市内全14小中学校においては「ゴーヤ」を使った「緑のカーテン」を設置し、省エネルギーを中心とした環境教育と合わせ、8月には自分たちの学校で採れたゴーヤを給食に使うなど、地産地消・食育についても推進して参りたいと考えております。
次に、庁舎南棟の活用計画についてであります。
庁舎南棟は、市民スペースとして第2期整備計画で、庁舎を含め山梨市シティーセンターと位置づけて、これまで導入施設について検討を進めて参りました。
南棟の整備は、これまで要望などをいただいた図書館、社会福祉協議会の事務室、物品や特産品などの販売スペースに絞る中で、市民を代表する区長会を初め各種団体の代表者と学識経験者で構成する山梨市シティーセンターの活用を考える市民懇話会や各地域審議会、市議会に計画内容を提示し、ご理解を頂いた上で、合併特例債の活用ができる平成26年度までに整備を図りたいと考えております。
次に、山梨市駅南・南反保の整備についてであります。
山梨市駅南地域、山梨消防署東側の南反保地域の市街地整備は、長い間の懸案事項であり、要望を頂いているものであります。
このため、策定を進めている土地利用計画、及び交通状況における課題や、市全体の広域的観点から対象地域に求められる都市機能の条件を整理し、地域の皆様のご意見をお伺いし、国・県等の関係機関と協議のうえ、整備の実現方策や地域の将来像を検討して参りたいと考えております。
なお、事業着手は、現在進めております主要道路の進捗状況をみる中で定めて参りたいと考えております。
次に、主要道路整備についてであります。
先ず、小原東・東後屋敷線改良事業は、第2期事業としての延伸計画について、西関東連絡道路と国道411号を連結し、中央自動車道へのアクセス道路の役割を果たす重要な路線と位置づけ、県道休息山梨線のバイパスとして県事業での早期建設について強くお願いしているところであります。
今後も、県はもとより隣接する甲州市とも協議し引き続き取り組んで参りたいと考えております。
次に、落合正徳寺線改良事業は、本年度から第2期分としてJR架線橋を含む580メートル間の測量設計を実施することとしております。
次に、農業基盤整備事業についてであります。
農業基盤整備は、石森地区・倉科地区基盤整備事業、牧丘東部・上栗原・万力地区畑総整備事業など計画的に推進を図っておりますが、新たに平成23年度の採択に向け、県営事業として八幡西地区農地環境整備事業、成沢地区基盤整備事業への取り組みを図って参りたいと考えております。
次に、観光指針の策定についてであります。
山梨市観光指針の策定については、本市の観光振興施策の具体的な戦略を構築するため、本年度策定を目指すものであります。
策定にあたっては、昨年度本市に訪れていただきました観光客2,000人を対象に「観光アンケート」を実施するとともに、国土交通省関東運輸局と協働して「関東まちづくりコンサルティング事業」を実施し、競争力のある観光地づくりの推進に向けた新たな企画旅行商品開発に取り組みました。
寄せられたご意見を踏まえると共に、コンサルティング事業の成果を活かし、本市観光振興を図る基本的な指針づくりを進めて参りたいと考えております。
次に、幼稚園・保育園児の運動能力についてであります。
平成20年度、21年度の2か年、文部科学省の委託研究事業「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」事業の選定を受け、山梨学院大学カレッジスポーツセンターのご協力をいただき、市立つつじ幼稚園を中心に、山梨保育園、加納岩小学校低学年を対象に調査を行い、大きな成果を上げることができました。
小中学生については、全国で体力テストが実施されますが、幼稚園、保育園では実施されないため、委託研究事業の成果を今後活用していくためには、引き続き市内の幼稚園、保育園でも定期的に体力測定を行い実態を把握すると共に、その結果を基に幼児期における体力づくりに取り組んで参りたいと考えております。
次に、市長交際費についてであります。
全市民を対象に弔意を表し、市長が通夜、告別式に原則的にすべて参列いたしておりましたが、社会経済情勢、県内各市の状況などを参考とし、市長公務と事務の軽減及び交際費の抑制を図ることを目的として、弔意に対する基準の見直しを行いました。
このため、全市民を対象に弔電により弔意を表し、市長が参列するものは、市政功労章受章者及び現職の市議会議員等に改めさせていただきました。
また、市長交際費の使途につきまして、本年4月分からの状況をホームページで今月末に公表すべく作業を進めて参ります。